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ゲーデルと数学の近代

ヒルベルト数学ノートブック研究のページに、物理学ノートの画像、翻刻、和訳を追加。”beschribe die ganze Erscheinungenfülle” の自然な和訳が難しい…。辞書に従って単純に訳せばFülle は「豊穣」だろうが、これは、力学の公理系を作って、それで諸現象が説明できることを示せという意味だが、ganze が入っているから、数多ある力学の現象の「すべて」を説明せよという意図が入っていると思われる。で、「すべての現象の豊穣を説明せよ」が直訳だが、これでは「豊穣さを説明する」になってしまうので、「数多の現象のすべてを説明せよ」にしておいた。

この場合の Fülle は、「豊穣なものの全体」という意図だろうが、日本語には「豊穣」をこういうニュアンスで使うことはあまりないように思う。「豊穣な実り」を「豊穣」で表すことはあるようにも思うが、あまり多くはないだろう。しかし、ドイツ語の文献を見ると、亀の子文字の時代を中心に、宗教や哲学のテキストなどで、Erscheinungen Fülle を「数多くの現象全体」という意味で使っているものが相当数見られる。大抵の場合は、Fülle に「豊穣」という肯定的ニュアンスはなく、「そういう数多い多様なものに眼を奪われては駄目で、その背後の本質を見よ」という主張の一部として使われているようだが。

こういう時、翻訳は本当に難しいというか、完全な意味を翻訳だけで伝えるのは不可能だと、実感させられる。奇妙な感じを持つのは、ドイツ語の場合の方が、英語の場合のときより、その頻度が多い様に感じることだ。現代の文章でもそうだ。なぜだろう?日本が、敗戦により、アメリカ化・イギリス化しているのだろうか?それともドイツ語というものが、あまりに多くの背景や歴史を引きずっているためだろうか?

この物理学ノートの追加で、今まで書いてきたページがかなり連動するようになった。画像が、現在のその構造を表すグラフ。こういうのを出版物、特に書籍で、やろうとすると、それぞれが完成した後でないと無理なので、少なくとも5年はかかるだろう(もっとか?)。

やはり、WEBテキストにして正解だった。

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