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SMART-GSは歴史学、古典学、文献学、言語学などの人文学におけるテキスト研究用ツールです。
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手書き史料や古印刷物を、検索、マークアップ、リンクするには、それを翻刻して電子テキストに打ち直す必要がありました。しかし、SMART-GS では画像イメージのままで、検索、マークアップ、リンクができます(注1)。
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OCRで作ったテキストを検索するのと異なり、類似するパターンをパターンのままで検索するので、文字体系がわかっていない言語のテキストでも使えます。
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OCRに比べ精度が若干落ちますが、手間が大幅に削減できるため、従来ならば翻刻補助員の謝金などの大きな資金を必要とした研究を個人で行うことが可能になります。
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これらの機能のため、読みにくい手書き史料、OCRが十分機能しない古印刷物などの検索・翻刻・釈読・分析のための便利なツールとして人文学の多くの分野で役立つものと期待されています。
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すでに19世紀ドイツ数学基礎論史研究に使用されて成果をあげており、現代日本政治史の倉富勇三郎日記研究での使用も始まっています。また、京大文学部・文学研究科の歴史学関係の演習で使用する計画が進行中です。
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SMART-GS は人文学研究・教育のための実用的ツールを開発し、広く世界の人文学の研究者・学生に提供することを目指す人文学サイバープラットフォームのプロジェクト であるHCP (Humanity CyberPlatform)プロジェクトの一環として開発されています。ソースは公開されており、自分の人文学研究のために自由に改変することができま す(注2)。
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注1.検索のためには行の切り出しが必要です。HCPプロジェクトでは、多くの手書きテキストでも、比較的簡単に行きりだしを行うツールや方法を開発しており、これも合わせて公開されています。
注2.HCPのソフトは作者の不利にならない限りは、オープンソフトであることを原則としています。SMART-GS関連ソフトとしては、検索データ作成に使うソフト Segfo2dsc (寺沢憲吾さん開発)がバイナリで公開されておりソースは非公開です。